ネオン・コバルトブル— パライバトルマリン
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東洋の雅が静かに息づくこの世界において、ひときわ異彩を放つのが「パライバトルマリン」。その鮮烈な発色と稀少性ゆえ、まるで光を秘めた小宇宙のように私たちを魅了いたします。本稿では、産地・価値・歴史・そして当ブランドにおける位置づけについて、最も敬意を込めて紹介いたします。
1. 産地と地政学的背景
この鉱石物語は、1980年代末、ブラジル北東部・パライバ州(Paraíba)で採掘された銅を含むエルバイト系トルマリンに端を発します。この地名にちなんで「パライバトルマリン」の名が誕生。原産地は、
- ブラジル(主にパライバ州/リオグランデ・ド・ノルテ州)
- その後、ナイジェリア・モザンビークでも類似の含銅トルマリンが発見されました。
特にブラジル産、なかでも旧鉱山「サン・ジョゼ・ダ・バターリャ」産は、採掘量が著しく減少し、現在ではほとんど流通がないとされております。この希少性が、産地としての尊格を一層高めております。
2. 特徴と光彩——銅(Cu)による“電気色”
パライバトルマリンが唯一無二である所以は、その銅含有量に起因いたします。銅を含んだ結晶構造が、他のトルマリンには見られない「ネオン・ブルー/ターコイズ・ブルー」あるいは「グリーン〜ブルー」の鮮やかな発色を生み出します。さらに、色の鮮明さ(彩度)、透明度、産地、サイズといった複数要素が価値を決定。GIAによれば「色」が最も重要なファクターであり、クオリティの高いものは“青味が強く、透明度が高く、インクルージョンが少ない”とされます。
特徴を整理すると:
- 色:青~緑、特にネオンブルーが最高級。
- 色味が濃く、透明感・大きさが優れるものほど希少。
- ブラジル産が産地として最高評価。
3. 価値と市場動向
かつて“カラーストーン”というジャンルが主流でなかった時代において、パライバトルマリンは1989〜1990年代に市場へ登場し、瞬く間に伝説となりました。今日では、最高級クラスのものは 1カラットあたり数千万円レベル に達することもあり、まさに「世界三大希少石」に肩を並べる存在とされます。モザンビーク・ナイジェリア産でも、色が淡くなる傾向があり、価値はやや抑えられます。 なお、産出量の減少と高級ブランドによる確保姿勢が相まって、価格の上昇傾向が加速しているという報道もございます。
4. 歴史と文化的意義
発見から僅か数十年という若い歴史ながら、パライバトルマリンはその鮮烈な色彩ゆえに世界のハイジュエリー市場で瞬く間に地位を確立いたしました。「ネオンの青」「電気を帯びたような輝き」といった比喩で語られ、従来のルビー・サファイア・エメラルドとはまた異なる“新世代のプリシャスストーン”として注目を集めております。ジュエリーに用いられる際には、「一瞬で視線を捉えるカラーストーン」として、ブレスレットやリングのセンターストーンにも起用されております。そのため、単なる装飾品としてではなく、「時を纏うアート」「秘められた光を持つ宝石」としての物語性も強く備えております。
5. Godfrey&c におけるパライバ活用とブランド位置づけ
私ども Godfrey&c では、東洋雅と中国無形文化遺産工芸の融合を核心理念としております。その中で、パライバトルマリンは「静謐なる電光」「工芸の中に秘められた未来性」を象徴する素材として、特別な位置を占めております。
例えば、当工房では「銅透雕工芸/錾刻工芸」の枠組みの中で、ネオンブルーのパライバを配した作品を少数展開。一点一点が “唯一無二” であり、まさに「時を刻む芸術」であります。
また、過去には10カラットを超える稀少なブラジル産パライバを扱った経験もあり、その瞬間、素材の実力と稀少性を改めて実感いたしました。今後も、品質による妥協は一切せず、真の「宝石至上主義」を体現いたします。
6. 伝えたいこと:選ぶという行為が、時を超える
パライバトルマリンを選ぶということは、ただの「石を買う」行為ではございません。
それは、
— 地球深部が造り出したネオンの煌めきを身に纏うこと。
— 銅が導いた光を、職人の手が形に変える時間の中に招き入れること。
— そして、そのひと石があなた自身の歴史を刻むアートピースになること。
そんな「語るべき素材」を、Godfrey&c はこれからも一貫してご提供いたします。どうぞ、その輝きと物語を、ぜひあなた自身でご体験ください。
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