翡翠 ― 六彩に宿る永遠の美
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はじめに
翡翠(ひすい/Jadeite)は、その硬質な美しさと豊かな色彩により「東洋の至宝」と称されてまいりました。一般的に緑が最も有名ですが、翡翠は多彩な色調を持ち、それぞれに独自の意味と価値がございます。本稿では、翡翠が持つ代表的な六つの色――緑・黄・赤・紫・白・青――を、歴史的背景や象徴性とともにご紹介申し上げます。
翡翠とは
- 鉱物学的定義:翡翠はヒスイ輝石(Jadeite)を主成分とする宝石でございます。モース硬度は6.5〜7、比重は3.3前後で、非常に堅牢かつ粘り強い特性を持ちます。
- 玉との違い:和田玉(ネフライト)も「玉」と称されますが、宝飾における「翡翠」とはヒスイ輝石に限定されます。
翡翠の六彩
1. 緑(グリーン)
最も知られた色彩であり、翡翠の代名詞とも言える存在。
- 帝王緑(インペリアルグリーン):濃厚かつ透明感ある深緑。クロムを起因とし、最高級の価値を持ちます。
- 陽緑(アップルグリーン):瑞々しい若葉の色合い。明るく生命力に満ちた印象。
- 飄花(ひょうか):透明な地に緑の模様が漂い、水墨画のような景趣を生み出します。
2. 黄(イエロー)
鉄分の影響により現れる黄金色や蜜色。
- 太陽や豊穣を象徴し、財運や発展を祈願する石として珍重されてまいりました。
- 明るい黄から琥珀に近い色合いまで幅広く存在します。
3. 赤(レッド)
鉄やその他の酸化作用によって現れる赤みを帯びた翡翠。
- 「翡(赤)」と「翠(緑)」の語源にも由来し、緑との対比で一層鮮やかな美を放ちます。
- 活力や情熱を象徴し、希少性が高いため特に珍重されます。
4. 紫(ラベンダー)
マンガンの影響で発色する柔らかな紫。
- 「紫羅蘭翡翠」とも呼ばれ、上品かつ優雅。
- 中国文化では高貴や尊厳を意味し、現代でも人気の高い色彩でございます。
5. 白(ホワイト)
清澄で純粋な印象を持つ翡翠。
- 無色透明に近いものから、乳白色に濁ったものまで幅広く存在。
- 「無垢」「潔白」を象徴し、祈りや守護の石として大切にされてきました。
6. 青(ブルー)
鉄分や鉱物の影響によって現れる青みを帯びた翡翠。
- 水面や天空を思わせる清涼な美しさを持ち、稀少性も高い。
- 落ち着きや冷静さを象徴し、近年注目を集めております。
色・種・水の三位一体
翡翠は「色」だけでなく、「種(結晶のきめ細やかさ)」と「水(透明感・光の抜け感)」が揃うことで、初めて真価を発揮いたします。緑に限らず、黄・赤・紫・白・青の各色も、透明感や粒子の細やかさによって大きく価値が変わるのでございます。
「種」と「水」とは
- 玻璃種(はりしゅ):ガラスのように澄んだ最高級の質感。光が奥深くまで通り抜けます。
- 氷種(ひょうしゅ):氷のように清らかな透明感を持ち、涼やかな輝きを放ちます。
- 糯種(もちしゅ):糯米のように柔らかで、しっとりとした光沢を持つ。
- 豆種(とうしゅ):やや粗い結晶感を持ち、カジュアルに楽しめる種類。
色・種・水が三位一体となる時、翡翠は至高の美を完成させます。
主な産地
- ミャンマー(旧ビルマ):世界に名だたる最高品質の翡翠を産出し、「玻璃種」や「帝王緑」がここから生まれます。
- その他の地域:グアテマラ、ロシア、日本(糸魚川)などでも産出されますが、市場での最高評価はミャンマー産に集中しております。
歴史と文化
翡翠は古代中国において「仁・義・礼・智・信」を象徴し、日本においても糸魚川翡翠が勾玉として祈りの対象となりました。その色ごとの象徴性は、祈りや文化的意味をより豊かにするものでございます。
結びに
緑のみならず、黄・赤・紫・白・青と多様な色彩を宿す翡翠は、まさに大地の芸術であり、人類の精神文化の宝でございます。Godfrey&cは、この翡翠が持つ多彩な美と精神性を真摯に受け継ぎ、皆様の人生に彩りと物語を添えてまいります。
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