タンザナイト|薄明の青に宿る

 

はじめに


夕暮れから夜へ、夜から黎明へ。

そのわずかな境界にだけ現れる、静かで神秘的な色彩——。


タンザナイト(Tanzanite)は、その黄昏色にも似た青紫のグラデーションを宿す、類まれなる宝石でございます。地球上、唯一タンザニア・メレラニ鉱山でのみ産出され、その希少性と幻想的な色は、誕生から半世紀余りにして、瞬く間に世界の名門ジュエラーたちを魅了してまいりました。


一度見たら忘れられない深淵の青。その奥に静かに揺らめく紫。まるで、人生の黄昏と夜明けがひとつに溶け合うかのような色彩でございます。


本稿では、この唯一無二の宝石が辿ってきた歴史や価値、特徴、品格を丁寧にご紹介申し上げます。



歴史 ― 若き宝石が歩んだ神話


タンザナイトが人類に発見されたのは、非常に新しいことでございます。1967年、タンザニア・メレラニ丘陵で発見された本石は、鮮烈なブルーと成功確率の低い偶然性が、世界の宝飾史を驚かせました。


発見後、ティファニー社が「Tanzanite(タンザナイト)」という名称を付与し、瞬く間に国際市場へと広めました。その知性と品格を孕んだブルーは“サファイアに代わる新星”と称され、宝石界の地図を塗り替えたのでございます。


誕生の歴史が浅いにも関わらず、その存在はすでに“伝説”として語られ始めております。



産地 ― 世界でただ一か所


タンザナイトは地球上でタンザニアのみで産出されます。いかなる国・地域においても、商業的採掘は存在いたしません。


特に、メレラニ鉱区(Merelani Hills)と呼ばれる

わずかな地域に限られており、その希少性は、ダイヤモンドをはるかに凌ぐとさえ言われます。


地球が数百万年という時をかけ、偶然が重なったその一点からのみ生まれる宝石——それがタンザナイトでございます。



色と美 ― 黄昏を封じ込めた“青紫”


タンザナイト最大の魅力は、ブルー・バイオレット・パープルが重なる多色性でございます。


光の角度・照明・時間によって

色は表情を変え、

深海の青から、

静かな夜の紫まで、

限りない階調を織り成します。


一石の中に

「光」と「影」

「昼」と「夜」

二つが同居するその姿は、どこか儚く、そして尊くございます。



種類・グレード


タンザナイトは、その色の深さ・透明度・カットなどで評価されます。

グレードの目安

特徴

上質(AAA)

深い群青~紫、強い透明感、均一な輝き

良質(AA)

青紫、僅かな内包物

一般(A)

明るい青紫、内包物が見られる

特に、

深いロイヤルブルーや青紫の強い個体が最高品質とされます。



希少性と価値


タンザナイトの価値を支える三大要素は、

1. 単一産地

2. 産量減少の懸念

3. 美しい多色性


でございます。


近年、主要鉱脈の枯渇が懸念され、今後、採掘が不可能になる可能性も示唆されております。


そのため、将来的な希少価値の上昇が語られ、近年注目度が高まっております。



お手入れ


タンザナイトは硬度6.5前後で、ダイヤモンド・サファイアほどの強度はございません。


衝撃・高温に弱く、超音波洗浄は非推奨でございます。


保管・使用の注意点

強い衝撃を避ける

超音波洗浄不可

他の宝石と別に保管

優しく柔布で拭く


大切に扱うことで、その淡く深い光を長くお愉しみいただけます。



タンザナイトを選ぶということ


タンザナイトは、単なる“青い宝石”ではございません。


日が暮れる瞬間と、夜が明ける瞬間、その両方を封じ込めた色でございます。


人生の転機を象徴する石として、“新しい一歩を踏み出す者を守護する”とも伝えられてまいりました。



終わりに


この世界に、同じ石は二つとして存在いたしません。けれどタンザナイトは、さらに特別でございます。


「世界で唯一の地からのみ生まれた、ただ一度きりの色」


その静謐な輝きは、まるで星の欠片を手の中に抱くような、深く、優しい奇跡でございます。


人の一生に寄り添い、

心にそっと灯る光として——

どうか末永くご愛用いただけましたら幸甚に存じます。

 

オーダーメイドによる宝石ジュエリーのご相談を希望されるお客様は、当ブランド公式サイト内の 『Godfrey&c オーダーメイド受注方法について』 のページより、ご遠慮なく随時にお申し付けくださいませ。一点一点、心を込めてご対応させていただきます。➡︎クリック

 

ブログに戻る